「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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セミナーで各地を回ると、オーナーの皆さんからお子さんを紹介していただくことがあります。「息子が店を継ぎました」というお話を聞くと本当に嬉しく、また、責任も感じます。
「親を手伝いたい」という純粋な思いでアルバイトをスタート。やってみると大変なこともあるけれど、お客さまとのふれあいや自分の作った売り場への手応えにやりがいを感じて、本格的にお店に関わりたいと思うようになったと。
中には、本部として加盟店を支える側になりたいとローソンに入社する方もいます。
今年の夏、長野県を巡回中に帰省がてら店を手伝っているという大学生のお子さんにお会いしました。また、徳島では、お子さんだけでなくお孫さんも働き始めたよとご紹介いただき、3世代で店舗を運営されておられました。ごく自然な流れで、お父さんお母さんの後を継ぐという姿が各地で見られます。
「ローソンはうちのファミリービジネスです。まだまだいきますよ」と。そんな話を聞くたびに、しっかりサポートしなければと身が引き締まります。
こうした店舗を全国に増やしていくためにも、深刻化する人手不足や24時間営業の見直しといったコンビニ業界を取り巻く課題を一つずつ解決していかなければいけません。全国のお店で子どもたちが「継ぎたい」と思うと同時に、「子に継がせたい」と思っていただけるようなビジネスモデルの再構築が必要です。
ワーク・ライフ・バランスや人生100年時代と言われる中で、経済的にも社会的な意義という観点からも自信をもって働けるお店を作ることが本部の責任です。時短や省人化、元日の休業実験もその第一歩になると考えています。
何十年経っても、「次は子どもに任せた」とオーナーの方が次代にバトンを渡せるお店づくりを行っていきます。
※AERA 2019年10月21日号