

ポップミュージックの女王は闘い続ける4年ぶりの新作「マダムX」がリリースされたマドンナ。60歳を迎えてなお音楽界の女王、そして闘士であり続けるマドンナにロンドンで話を聞いた。
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1984年、セカンドアルバム「ライク・ア・ヴァージン」の世界的大ヒットにより、26歳でポップミュージック界の頂点に立ったマドンナ。女性の地位向上はもちろん、あらゆる差別や偏見と闘ってきた闘士でもある。マドンナの存在なしには、レディー・ガガ(33)も、テイラー・スウィフト(29)も、リアーナ(31)も生まれなかったことであろう。
6月14日に世界同時リリースされた最新アルバム「マダムX」は、14枚目となるスタジオアルバムだ。ダンサー、教授、国家元首などに姿を変えながら世界を回り、自由のために闘うスパイ“マダムX”をコンセプトとする。人種差別や銃規制法など社会的な問題にも目を向け、各国の若手アーティストとコラボ。英語のほかポルトガル語とスペイン語でも歌う、国境を超える作品だ。
──数年前からポルトガルの首都、リスボンにお住まいなんですよね。
息子のデヴィッド(13)がプロのサッカー選手を目指していて、よい指導を受けるためにできることはなんでもしてあげたいと思いました。リスボンにあるサッカーアカデミーに入学が決まったので引っ越し、いまは米国とリスボンを行ったり来たりしています。
──リスボンの街が作品のインスピレーションになったと聞きましたが、今回のアルバムの音楽的なアプローチについて教えてください。
ポルトガルで生まれたアルバムですから、その影響は多分にあります。ファド(ポルトガルの民族歌謡)をはじめとするさまざまな音楽に影響を受けました。リスボンでは自宅を開放して行われる“リビング・ルーム・セッション”が毎週のようにあって、お芝居をしたり、歌ったり、詩の朗読をしたりするんです。素晴らしい経験で、何度も足を運びました。そこで体験したサウンドが、水に小石を投げたように、私のなかで波紋を広げていきました。私は特にギターから影響を受けました。最初に「キラーズ・フー・アー・パーティイング」ができて、そこからアルバムが発展していったのです。