経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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フランスに来ましたので、今週はフランスのお話を。思えば昨年もちょうど5月に来ていました。これで10年連続訪問しており、ある意味での定点観測が可能です。
こちらはちょうど日曜日が欧州議会選挙で、ルペン氏が率いる極右の国民連合が第1党に躍り出た、という話でもちきりです。
こちらの方にうかがうと、元々「このままでは本当にルペンが大統領になってしまう」という危機感からマクロンに票を集め、なんとかブレーキをかけていたのが、ついにタガが外れたということのようです。これで、極右を止める方法はほぼなくなった、と言われており、知識人の中には強い危機感を覚えている方も多数おられます。
イタリアも極右が第1党になったようで、極右による排他主義および左派の衰退は欧州全体で大きな流れになりつつあるようです。
一方、フランスに来てとにかく印象に残るのが、リッチな地方経済であります。今回はブルゴーニュに来ましたが、ブルゴーニュワインを軸に、元気で繁栄する地方経済を目の当たりにしました。一昨年のボルドー、昨年のシャンパーニュ、そして今年のブルゴーニュ。フランスの地方は、都市経済が混迷し高い失業率にあえぐパリのような大都市より、よほどリッチな生活を楽しんでいます。
人口流出と高齢化を嘆くのみでひたすら廃れ行く日本の地方経済との違いはなにか。決定的なのは、当事者意識です。フランスの地方では、とにかく「自分たちで自分たちのコミュニティーを守り育てるんだ」という意識が非常に強い。要するに「パリはうるさい、口を出すな」というわけです。一方、日本の地方は自分たちで努力をせず、口を開けて補助金頂戴!!と待ち構えている。そして補助金誘致マシンのような議員を送り出しているのです。