こうした懸念を払拭するかのように、発言の後、維新の会の片山虎之助・共同代表がロシア大使館を訪れ、ガルージン駐日大使と会談し、丸山氏の発言について謝罪した。
しかし、当の本人は北方領土を実効支配しているロシアに対する「おわび」は、完全に意味不明な対応とツイッターに投稿し、不満を表明している。現在、ロシア政府は国営メディアを含め「静観」の構えだ。日本にとっては幸いなことに、日ロ関係、国際関係に強い関心を持っている政府関係者を除けば、丸山発言がロシアで炎上している様子はない。ただ、丸山議員に対する憤りを抱いているのは自民党関係者だけではない。
ある現役の防衛官僚は「戦争」という言葉を安易に持ち出す「軽さ」を問題視する。
「そもそも領土が占領されているからと言って、戦争でこれを解決する行為が国連憲章で禁じられている。声高に戦争を口にする国会議員に限って、全く外交のリアリティーがなく無責任な発言をする。自衛隊はあくまで専守防衛で、領土を奪還するために戦争する組織ではない」
丸山議員の選挙地盤である大阪19区の後援会などでは、あれは「失言」ではなく「本音」というのが共通認識のようだ。後援会関係者の一人は言う。
「場所が場所だったこと。そして発言が録音されていたことで発覚しましたが、あの発言は普段から口にしている持論ですよ。いつかこうした事態になると誰もが思っていました」
大阪19区には特別なお国事情もある。そもそもこの選挙区は、大阪維新の会の幹事長である今井豊氏の地盤。それを引き継ぐ格好で立候補した丸山議員は、2017年の衆議院議員選挙では自民党公認の対立候補をおよそ9千票差で破り、再選を果たした。前出の後援会関係者はこう続ける。
「大阪都構想を実現させるという地元の市議団、府議団の地道な活動があったからこそ丸山議員は当選できた。しかし、今回の発言がメディアで騒がれても、まったく地元への配慮がなかった。仮に衆参ダブル選挙があっても、統一地方選挙で躍進した維新のブランドの地盤があれば、自分は安泰だと思っていたのではないでしょうか」