戦後発行された主な紙幣【1】(AERA 2019年4月22日号より、写真:財務省提供[新紙幣]、国立印刷局ホームページから[他の紙幣])
戦後発行された主な紙幣【1】(AERA 2019年4月22日号より、写真:財務省提供[新紙幣]、国立印刷局ホームページから[他の紙幣])
戦後発行された主な紙幣【2】(AERA 2019年4月22日号より、写真:国立印刷局ホームページから)
戦後発行された主な紙幣【2】(AERA 2019年4月22日号より、写真:国立印刷局ホームページから)
戦後発行された主な紙幣【3】(AERA 2019年4月22日号より、写真:国立印刷局ホームページから)
戦後発行された主な紙幣【3】(AERA 2019年4月22日号より、写真:国立印刷局ホームページから)

 2024年から紙幣が刷新されることが4月9日に発表された。紙幣の「顔」に選ばれた渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の関係者からは、彼らの地元やゆかりの大学の知名度向上を期待する声があがる。一方で、毎年予想にあがる坂本龍馬の落選に龍馬ファンは肩を落とす。

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 財務省が、2024年から1万円、5千円、千円の紙幣を刷新すると発表した4月9日、ネット上であるブログが注目を集めていた。

  そのブログは、パパもんさん(37)が運営する「緋色の研究」。17年1月にアップした記事で、「津田梅子さんが5千円札で決定じゃないかな」と推理し、1万円札、千円札の有力候補として渋沢栄一と北里柴三郎を挙げていた。「可能性は低い」として岡倉天心、イチローらにも触れてはいるが、ほぼ的中、と言っていい内容だ。

  パパもんさんが着目したのは、偉人たちが死没した時期だ。1984年、当時死後51年で5千円札になった新渡戸稲造が「若すぎるのでは」と物議を醸したことから、「没後70年から100年くらいがベスト」と推測。「政治家ではなく文化人」「その人の経歴が今の日本の主義主張に合っていること」などを条件に、津田、渋沢、北里を選び出した。

 「渋沢栄一と北里柴三郎は1931年没、津田梅子は29年没です。これ以上没年が古くなると板垣退助の時代に入り、以前お札に選ばれているので、この没年代しかないな、と。ただし、過去には、聖徳太子の次に鳩が来て、また聖徳太子に戻ったこともありますが」

 1万円札の渋沢栄一は、「翔んで埼玉」がヒットするなど今最も勢いがある埼玉県出身。深谷ねぎで有名な深谷市の生まれだ。埼玉県人にとっては小学校で学ぶなど子どもの頃から慣れ親しんだ存在で、埼玉の歴史上の人物や産業などを盛り込んだ「さいたま郷土かるた」にも、「日本の 産業育てた 渋沢翁」と登場する。同県出身のイラストレーター、ラジカル鈴木さん(52)は言う。

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