そんなんだから、当然、女性にはもてた。多くの浮名を流したが、わたしがいちばん好きなエピソードは、女優・倍賞美津子との危ない恋だ。当時、倍賞はまだ、プロレスラーのアントニオ猪木の妻だった。あるパーティーで偶然、猪木とショーケンが鉢合わせした。周囲がひやっとするなか、ショーケンは猪木のところに進んでいき、「どーも」と頭を下げたという。猪木も思わず笑ったそうだ。
当時の猪木は、おそらく世界で一番、けんかが強かった。あんときの猪木に「どーも」もないもんだ。ありえない。どんな心臓してるんだ。
ショーケンは、消化管間質腫瘍という、10万人に1、2人の希少がんで、8年も病気を隠し、死の前々日までジムに通っていたのだという。ありえない。だけど、ショーケンならしょうがねえだろうな、とも思う。
これで、永遠にお別れなんだろう。ならば、永遠にお元気で。バイロン。(朝日新聞記者・近藤康太郎)
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