「日米の安全保障の専門家を招き、どのようにすれば『SACWO』が実現できるのかについても真摯な意見をいただきたい。そういう状況を政府に提示していくことも現実的な解決に向けた一歩につながると思っています」
同会議の「人権・平和」に関する部門会議で、日米合意から23年を経たSACO(日米特別行動委員会)を独自に検証。在沖米海兵隊の運用実態を踏まえ、新基地建設を条件としない普天間返還の道筋なども検討課題に盛り込む予定だ。
同部門会議は4~5月ごろに沖縄または東京で初会合を開く。今夏にも答申を受け、県政運営に反映させる。メンバーの人選について玉城知事は「日本と米国のみならずアジア全体を俯瞰する安全保障に造詣が深い方」「米国の社会学に詳しい方」「日米交渉にかかわった経験がある方」などを挙げる。
「専門的かつ広範な観点から政策の方向性をつむぎだしていければ。沖縄だけではなく東京や、必要であれば米国でも会議を開きたい」(玉城知事)
玉城知事には、平成から年号が変わる節目の今だからこそ、政府との対話の糸口を探りたい思いもある。
「天皇陛下が昨年の誕生日に『平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています』と述べられました。次の時代の平和のためにどうあるべきか。今はそのことを真摯に見つめ、検証し直す曲がり角に来ていると思います」
そしてこう言う。
「そのことを政府にしっかり考えてもらうには、われわれも単に反対を唱えるだけでなく、共に考える方向性を示すことが大事だと考えています。そうでないと現実的な基地負担の軽減や、日米の安全保障の安定にもつながらないと思うからです」
それでも国は沖縄を無視し続けるのか。政府の大局観が問われている。(編集部・渡辺豪)
※AERA 2019年4月1日号