事件発覚前の05年、中島氏は朝日新聞群馬県版の人物紹介欄でこう評されている。<強烈な個性のワンマン経営者だ。「教授会に力はない。決定は、すべてわたしがする」「結果を出せない教授は、さっさと辞めていただく」。言葉にも遠慮はない>。

 創設者にして、絶対的な権力を持つ中島氏。有罪判決後、同大は「(中島氏が)経営や教育に関与することはない」と表明していたが、実際は出所後の中島氏を10年に事務総長として採用。正式な契約も結ばずにコンサルタント料名目で約1941万円を支払っていた。文科省は11年、刑事罰を受けた中島氏の雇用を問題視し、「学校法人にふさわしい管理運営体制が整っていない」として同大の経営学部新設を却下した。

 中島氏は一度は弱まった独裁者としての存在感を取り戻しつつあるようだ。前出の現役職員が内情を明かす。

「校歌はこれまで1番だけでしたが、18年4月からは2番と3番も歌うように指示が出され、学生たちも練習をしています」

 外国人留学生が多いためだろう。歌詞に出てくるすべての漢字にかなが振られている。

 3番の歌詞はこうだ。

新しき風 緑を渡る
燈くそびえる 学び舎に
中島恒雄 理念満ちて
真の教育 我ら築かん
東京福祉大学

 ちなみに、2番にある「福祉の範」というフレーズは、実母の範氏を指しているのが「暗黙の了解」(職員)だという。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2019年4月1日号より抜粋

<続報>
受け入れ過多で教室足りず「銭湯で授業」 消えた留学生たちのゆくえ
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