11月の米中間選挙の予備選を勝った女性候補が、上下両院で過去最多を更新した。反トランプ作用を追い風に、本選をも左右する力にまで広がりを見せるのか。
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「けたたましい2人の笑い声と私を犠牲にして楽しんだ姿は、脳裏から消えたことがない」
9月27日の米上院司法委員会の公聴会で、大学教授のクリスティーン・ブレイジー・フォード氏(51)が過去の性的被害を証言した。加害者とされたのは、トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏(53)。フォード氏が15歳だった1982年夏、酒に酔ったカバノー氏ら2人に無理やり寝室に連れ込まれ、体を触られたなどと告発した。
同日に同委員会で証言したカバノー氏は「誰にも性的暴行をしたことはない。無実だ」と完全否定。「計算された組織的な政治攻撃で、トランプ大統領の当選以来、たまった怒りにあおられたもの」と陰謀論にまで言及した。陰謀論は、批判を煙に巻くためにトランプ大統領が最近多用している主張だ。カバノー氏による性的被害は複数の女性が訴えている。疑惑について連邦捜査局(FBI)が捜査することになり、上院本会議での指名承認は延期された。
トランプ大統領はカバノー氏の公聴会発言を「真に立派な人間性と勇気を目の当たりにした」と絶賛。フォード氏が今になって告発したことを理由に信頼性に疑問を呈し、性被害を訴え出る難しさに理解がないとネット上で反発を集めた。05年の米テレビ番組収録前に録音された「スターなら(女性に)何でもできる」を始め、自著や雑誌などに数々の女性蔑視発言を残してきたトランプ大統領の言動が、11月の中間選挙を前に、女性たちを国政の中枢へ挑ませる大きなうねりを生んでいる。
「正式発表。(中間選挙に向けた)予備選で勝利した米下院の女性候補者の数が本日記録を更新した。さらに増える可能性」
8月8日、米ラトガース大学の「米国女性と政治センター(CAWP)」は歓喜の発表をツイッターでした。CAWPは、政界に進出する女性の育成事業を展開する多くの米国施設の中で老舗的存在だ。フォード氏の公聴会についても多くのコメントを次々とリツイートし、「共和党の上院司法委員には、いまだ一人も女性がいない」などと問題提起している。