小野瀬:いまこうして並べてみても、新旧の曲でそんなに遜色がない。気持ち的に、どの曲も同じようにプレイできる。そこが剣さんの曲の面白いところなんです。これだけ一緒にやっていても、毎年「こんな曲が!」という曲が出てくる。コードをとっているとき、アレッと思う。何が秘密なのかが、まだわからない。

横山 本人にもわからない(笑)。

小野瀬:剣さん、F1のレギュレーションみたいで、その年々で今年のテーマはこれという感じで毎年いくので、僕たち的にも興味がつきないですね。

横山:レコーディングでは、レコーディング芸術としてそこでしかできないことをやりたくなるんですが、その結果ライブで再現できないとか、大改造しないと演奏できない曲が出てくることもあります。でも、どちらも目いっぱいやるのが楽しいです。

小野瀬:本当は剣さんの頭の中で鳴っている音楽を、コードでもつなげて、そのまま聴きたいんですけどね(笑)。

──お話を伺っていますと、メンバーが一番の剣さんのファン、という感じがします。

横山:気持ち悪いくらい仲がいいんですよ(笑)。

小野瀬:CKBは、本当に音楽が好きなひとたちが集まっちゃったなという感じです。2002年には、年間120日スタジオに入っていて、ライブが90本くらいあった。レコーディングスタジオからツアーに直行とか。でも、それが楽しかったんですよね。夜中、車を交代で運転して走ったりとか。

横山:メンバーがバイトしているレンタカー店に集合して。

──「ショック療法」(00年)という名盤の後、前代未聞の21曲入りのマンモスシングル「肉体関係」(01年)をリリース、「せぷてんばぁ」(01年)、「タイガー&ドラゴン」(02年)とシングルリリースも続いていた時期ですね。

小野瀬:テープに録っていた時代からハードディスクレコーディングになるなど、録音システムも変わってきて、面白がりながらあれこれやっていた時期でもあります。

横山:「グランツーリズモ」(02年)からプロトゥールスを導入しましたが、いろいろできすぎて諦めがつかなくなる。それで余計大変になりました。でも楽しくてしょうがない。

──ライブでは、ご当地ネタを披露してくれたり、会場からのリクエストコーナーもあったり、ファンには嬉しいです。

小野瀬:昔からそうですね。剣さんのサービス精神です。

横山:自分にとってやりたいことがお客さんに喜んでいただけて、相乗効果です。ライブが終わった後のお客さんの顔が気になりますね。どんな顔して帰るのかな、ライブの後、いい酒飲んでいいメシ食ってくれるかな、と。

(編集部・小柳暁子)

AERA 2018年10月1日号