旬を過ぎたある証券会社系運用会社のエコファンドの例(AERA 2018年7月9日号より)
<br />
旬を過ぎたある証券会社系運用会社のエコファンドの例(AERA 2018年7月9日号より)

 AIやIoTなど特定分野の株に集中投資する「テーマ株投信」。急激な値上がりが見込める一方で、“旬”を過ぎるのが早く、リスクの分散もできていないことから、専門家からは「最も買ってはいけない」との意見も出ている。それでもテーマ型投信が人気を集める背景とは。

 テーマ型ファンドが人気を帯びやすいのは、「勧めやすい」という理由がある。

 ある大手証券会社の窓販担当者は「外債、世界分散投資系、AIファンドと3種類の商品を提案したら、かなりの確率でお客さんはAIファンドに食いつく」と話す。旬が過ぎれば、新たなトレンドを捉えた商品を勧めるだけだ。

 証券会社などが、毎月分配型のファンドを売りにくくなったという背景もある。昨年、元本の一部を切り崩して毎月分配金を支払う金融商品について金融庁が「顧客本位でない」という判断を示したのだ。

 では、どのように投資先を選ぶべきか。楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏は「テーマ型ファンドを勧める営業担当者とは付き合いを断つこと」と話す。

「私は、83歳になる母が割高な投信を売りつけられないように、証券会社の支店に出向いて、預け入れている資産をすべて個人向け国債にしてもらいました。そのうえで『この先、母に営業をしないように』『この約束を記録して保存しておいてください』と念押し。ご両親を割高な金融商品から守るには、このような予防的措置も有効でしょう」

 ブームに乗れればリターンは大きいが、旬が短いのがテーマ型ファンド。すでに購入済みの人は、組み入れ銘柄の株価をチェックしながら、売り時を考えるべきかもしれない。(ライター・田茂井治)

AERA 2018年7月9日号より抜粋