韓国の芸能人やスポーツ選手が、いじめの加害者だった過去を暴露される「学暴MeToo」に揺れている。韓国では学校内のいじめは「学校暴力」といわれ、省略して「学暴(ハクポク)」と呼ばれる。
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「学暴MeToo」が関心を集めるなか、学暴の被害者が十数年を経て加害者への復讐(ふくしゅう)を果たすNetflixのドラマ「ザ・グローリー」が公開。韓国だけでなく世界的な人気を集め、「学暴MeToo」に拍車をかけることになった。誰かをいじめたことに対して心から反省しなければ、結局罰を受けるという「勧善懲悪」のメッセージを含んでいるこのドラマは、中・高校生に学暴の深刻さを悟らせ、予防の効果を導いているという評価もあるのだが。
「学暴MeToo」が国民的な関心を集めたきっかけとなったのは、プロバレーボール選手の李在英(イ・チェヨン)さんと双子の姉妹である李多英(イ・ダヨン)さんの事件だった。
ふたりは高校時代からその実力で注目を集め、プロのバレーボールチームに入団。とくに李在英さんはプロ新人賞とリーグMVP受賞、そして韓国代表に抜擢(ばってき)されるなど、韓国女子バレーボールの最大有望株と呼ばれていた。
ところが2021年2月、あるインターネットコミュニティーで、ふたりから受けたいじめについての長文の暴露文が掲載された。中学校時代、同じバレーボール部に所属していた人からのもので、姉妹から長期間の暴行と暴言、カツアゲなど、ひどいいじめを受けたという内容だった。
この学暴の暴露がニュースやSNSなどで拡散。姉妹は暴露の3日後に事実関係を認め、過去のいじめを謝罪した。しかし、世論はふたりを許さず、球団は無期限のプロバレーボール活動停止という処分を下し、韓国バレーボール協会も姉妹の韓国代表の資格をはく奪した。ふたりはトルコのプロバレーボールリーグに移籍したが、韓国に復帰する可能性はゼロに近いといわれる。