

「コンビニ百里の道をゆく」は、48歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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5月22日、ローソンの株主総会が開かれました。株主総会は、一般投資家の皆様との貴重な対話の場であり、会社の重要事項の意思決定をする機関でもあります。
企業活動は、多くのステークホルダー(利害関係者)の方々に支えられて成り立っています。株主の皆様は企業に出資して下さる大切なステークホルダーで、私たちは株主還元をしっかりと果たす経営をしていく義務があります。
また、事業を継続発展させていく上で、株主の皆様のほかにもお客様、取引先、金融機関、店舗がある地域社会、行政機関、そしてクルーの皆さんを含め従業員もすべてが大事なステークホルダーです。その皆様すべてに「還元」できる経営をしていかなければなりません。
私たちにとって、お客様が大切なのは言うまでもありません。一方で、良質な商品やサービスを提供するには取引先が不可欠であり、両者をつなぐ加盟店の皆さんや従業員が働きやすい環境を作ることも大事です。全国の店舗でビジネスが回れば地域社会が潤い、行政とも適切な関係を築くことができる。この好循環を作ることで、安定的に利益が生まれ、結果的に株主還元も大きくなる。このサイクルを作ることが理想です。
4月以降、国内外の機関投資家の方たちを回り、コンビニ業界の全体像やローソンの中長期的な成長戦略について意見を交わしてきました。今回の株主総会では、2017年度通期決算で15年ぶりの減益だったこともあり、厳しいご指摘もありました。でもそういう時こそ、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」という企業理念に対して、経営が正しい方向に進んでいるかに立ち戻ることが重要です。株主の皆様との目線もそこで合わせられると考えています。
全てのステークホルダーのために、掲げている中長期ビジョンは何が何でも達成しなければなりません。株主の皆様からのご意見、ご指摘を経営の熱に変えていきます。
※AERA 2018年6月4日号