特別養護老人ホームは歩行が困難な利用者が少なくないが、養護老人ホームなどは比較的元気な高齢者が多いため性に関するトラブルも(※写真はイメージ)
特別養護老人ホームは歩行が困難な利用者が少なくないが、養護老人ホームなどは比較的元気な高齢者が多いため性に関するトラブルも(※写真はイメージ)
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【淑徳大学 総合福祉学部教授】結城康博さん/在宅介護支援センターなどで介護関連の職に従事した後、研究者に。『福祉は「性」とどう向き合うか』(ミネルヴァ書房、共著)など、著書多数(写真:本人提供)
【淑徳大学 総合福祉学部教授】結城康博さん/在宅介護支援センターなどで介護関連の職に従事した後、研究者に。『福祉は「性」とどう向き合うか』(ミネルヴァ書房、共著)など、著書多数(写真:本人提供)
【社会福祉法人仁生社 特別養護老人ホーム「水元園」施設長】桜川勝憲さん/仁生社の介護関連施設で介護福祉士としての経験を積んだ後、グループの特養老人ホーム「水元園」(東京都葛飾区)の施設長に就任(撮影/ジャーナリスト・田茂井治)
【社会福祉法人仁生社 特別養護老人ホーム「水元園」施設長】桜川勝憲さん/仁生社の介護関連施設で介護福祉士としての経験を積んだ後、グループの特養老人ホーム「水元園」(東京都葛飾区)の施設長に就任(撮影/ジャーナリスト・田茂井治)

 超高齢化社会を迎える中、介護の現場で「高齢者の性」が問題視され始めている。100年近い歴史を持つ都内の某養護老人ホームの女性施設長はショッキングな現場を目の当たりにした経験がある。

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「以前、特養に入居していらした70代の男性は、散歩に行けば昔話をしてくれる気持ちのいい方でした。ところが、夜になると一人で車イスで移動しては、女性の部屋に忍び込んでいた。若い女性介護福祉士が介助する際には、まったくセクハラする様子もなかったのに、寝たきりの抵抗できない女性の体をまさぐっていたんです」

 さらに、高齢者同士の“援助交際”が行われることも。

「私が以前に勤めていた養護老人ホームには、年金支給日になると息子が無心に来る、少々家族関係がうまくいっていない70代の女性が入られていました。その女性がお金に困って、同じく70代の男性利用者に相談。月10万円で性行為の相手をする契約を結んでいたと、後に発覚したのです」(別の施設長)

 深刻なのは、こうした高齢者の性に関する問題が表面化しにくい点だ。介助者に対するセクハラは、現場の判断で処理されがち。入居者同士の性行為が発覚しても、片方が認知症を患っていれば、同意があったかどうかを確認することなどできない。身寄りのない独居老人が増えているため、強制退去を促すことが難しいケースも少なくない。

 そもそも、特養をはじめとした公的な介護施設であったとしても、居室は利用者のプライベートなスペースだ。そこで性行為が行われているとわかっていても、介護福祉士が踏み込むのは難しい。そのため、思わぬ自慰行為の現場を目の当たりにしてしまうケースもあるという。

「ある晩、4人部屋を利用していた70代女性のカーテンを開けると、Vの字に両足を上げて黙々と陰部を触っていたんです。もともと耳が遠いうえに、集中していたのか、私が入ってきたことにも気づいていませんでした」

 当然、こうした問題の大半は、家族の耳にも入らない。

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