

「コンビニ百里の道をゆく」は、47歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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当たり前ですが、企業には必ず創業者がいます。時代と共に組織の形が変わっても、創業者のあふれる情熱があったからこそ、後進は仕事をすることができるのです。
三菱商事時代、当時の副社長が社長に就任される前に、三菱の祖である岩崎弥太郎さんの菩提寺や生家を訪問されるのに随行しました。創業者の歴史に触れ、お墓をお参りすると、なぜか晴れ晴れとすっきりして、秘書として社長に仕え、会社に貢献していこうという気持ちがより鮮明になったのを覚えています。
そして今年の正月、私はローソンの創業者である中内功さんの墓前に手を合わせて参りました。
兵庫県芦屋市の高台にあるお墓で、社長として職責を果たしていくことを改めて誓い、ローソンという素晴らしい企業を後世に残していただいた感謝の気持ちを伝えました。
中内さんがアメリカにあったローソンとコンサルティング契約を結んだことで、1975年6月14日に大阪府豊中市にローソン1号店が誕生しました。当時はアメリカンテイストを売りにパーティーフーズなどを販売していたお店でしたが、店舗の業態は時代と共に変化して、親会社もダイエーから三菱商事に変わりました。
でも、日本でフランチャイズビジネスを成功させようという中内さんの思いがあったからこそ、今のローソンがある。加盟店、クルーのみなさん、社員合わせて17万人の仲間と、日本のマチを支えるという壮大な仕事をさせていただけている。その礎を築いてくれた中内さんには、本当に感謝の気持ちしかありません。
お墓は、大阪湾から紀伊半島の和歌山県まで見渡せる絶景にあります。中内さんは、今もここから日本や世界を見ていらっしゃるのだと思うと、ローソンも日本のみならず、海外での歩みもしっかり進めようと気持ちを新たにしました。先人たちの思いを受け継ぎ、私なりに仲間と共に今の時代のローソンを創っていきたいと考えています。
※AERA 2018年5月21日号

