歴史はビジネスに効く(※写真はイメージ)
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 将来を完璧に予測できれば、天井知らずで業績を上げられる。その精度を高めるのに、歴史に学ぼうと力を注ぐ経営者がいる。好きな人物はだれか。関心ある出来事は何か。社長・会長にアンケートした。

●アンケート設問
(1)もっとも好きな「歴史上の人物」
(2)もっとも関心がある「歴史上の出来事」
(3)もっとも好きな「歴史関連の書物」
(4)もっとも好きな「幕末・明治初期に活躍した人物」
(5)ビジネスで参考にした「歴史上の人物や出来事」

*  *  *

 安田火災海上保険の経営企画部長は心身ともに疲れ切っていた。外資系損害保険会社の本格参入でサービス競争が激化し、規模の拡大を求めて日産火災海上保険、大成火災海上保険と合併に向けて協議に入ったと発表したのが2000年11月。覚書に調印、新会社の社名を「損害保険ジャパン」と決め……順調に進んでいた事態が暗転した。

 01年9月、米同時多発テロ。

 大成火災が被害に遭った航空機向け保険の再保険を引き受けていた。リスク管理が甘かったとされる。同月末には債務超過に陥り、安田火災、日産火災に支援を要請したが、事業継続を断念。2カ月後に破綻(はたん)処理を東京地裁に申請した。

 合併協議は暗礁に乗り上げた。安田火災では経営企画部長がこのプロジェクトを進めていた。先行きがまったく見えないなか、知人の薦めで手にしたのが『運命を拓く』。明治から昭和にかけて活動した思想家、中村天風の著書だ。

「力強い言葉がわたしの胸に響き、涙が止まらなかった」

 再び協議に粘り強く取り組み、安田火災と日産火災は02年2月、合併契約を結んだ。それ以来、中村の教え「心の持ち方一つが人生の運命を決める」が座右の銘となった──。

この部長が、SOMPOホールディングス(HD)の櫻田謙悟社長だ。先人の知恵はビジネスに効く。本誌は経営者を対象に、歴史アンケートを実施。社長・会長12人から回答を得た。

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