世界的に見ても自己肯定感が低いとされる日本の子どもたち。大人は「もっと自分を信じて」と教えるが、大人は子どもたちを信じているだろうか。子どもたちの生きる力をはぐくむには、まずはそこからだ。
女子中学生が、生まれたばかりの赤ちゃんを恐る恐る抱き上げる。その様子をかたわらで心配そうに見つめる友人たち。
「すごくちっちゃいね」
「でも温かいよ。命って感じ」
彼女らは、東京に修学旅行に来た北海道の中学生。東京の助産院で助産師や赤ちゃんと交流できる「スタディツアー」に参加した。リディラバが企画したものだ。
代表の安部敏樹さん(30)によれば、社会問題の現場を訪ねるスタディツアーの目的は大きく二つ。一つは原体験と言えるものをつくることだ。
「当事者の話を聞いたり、手触りのある体験をしたりすることが、社会問題に対して行動を起こす原動力になります」
もう一つは、課題設定能力を養うこと。
「同じホームレス支援でもその方が抱える問題によって、必要なものが食料だったり家だったり医療だったりと、まるで違ってきますよね。与えられた課題を解決するより、何が課題なのかを自分の目で見て考えることのほうが重要だと思うんです」
フードロスや障害者の就労支援、地域医療の現場など、多彩なツアーを実現できるのは、日頃から各地で課題解決に取り組むNPO法人や企業と協力関係ができているからだ。
安部さんは言う。
「われわれは、あらゆる社会問題にアクセスするためのプラットフォーム的存在なんです」
世間の社会問題に対する「無関心」を打破するにはどうしたらいいか。考える中で、ツアー化することを思いついたという安部さん。今後も多くの学校が導入予定で、2018年は3千~5千人の子どもたちが参加する予定だという。
企業や自治体と共同で商品やサービスを開発することで、子どもたちの目を開かせよう、という取り組みもある。