つい先日の成人式。彼のことが話題になった。
「あいつ、最近一人になりがちなんだよね」
1月8日の成人式当日は、彼が所属した慶應義塾湘南藤沢中・高等部の空手部で集まる予定もあった。友人の誘いを断り、彼は成人式にも空手部の集まりにも顔を出すことはなかった。東京都大田区の自宅で父親をナイフで刺し、殺人未遂の容疑で現行犯逮捕された慶應義塾大学2年の鳥屋智成容疑者(20)のことだ。父親は間もなく死亡。警視庁は容疑を殺人に切り替えて捜査している。
18日夜、酒に酔って帰宅した父親で、会社役員の鳥屋多可三(たかみ)さん(58)が次男に説教を始めたのに気づき、鳥屋容疑者は部屋を飛び出した。
「やめないなら刺すぞ」
鳥屋容疑者と同じ空手部に所属した同窓生は事件を知り、「人を殺すような人じゃない。信じられない」と感じる一方、同時に中学時代を思い出していた。部活終了後、胴着を脱ぐと鳥屋容疑者の体にあざがあった。けんかでもしたのかと尋ねると、
「親に殴られた。父親は本当に厳しく、面倒くさい」