岐阜県高山市の飛騨信用組合が、スマートフォンのアプリ上で利用できる地域限定の電子通貨「さるぼぼコイン」の運用を始めた。金融機関が電子通貨の発行者となったのは日本初だ。さるぼぼとは、岐阜県飛騨地方で昔から作られる人形のこと。
【写真】スマートファンのアプリ上で決済できる電子地域通貨「さるぼぼコイン」
専用アプリにコインをチャージしておけば、加盟店への支払いは3ステップ。簡単にスマホでできる。(1)アプリを使ってレジの横にある2次元コードを読み取る(2)買った金額分のコインを自分でアプリに入力して店員に表示し、画面をスライド(3)支払いが確定すると「あんとー」と、飛騨弁で「ありがとう」という意味の決済音が鳴る。店側にも決済完了のメールが届く。
チャージは飛騨信用組合の窓口などで1円を1コインに交換でき、加盟店側はそのコインを加盟店舗間での支払いにも利用できる。2017年12月4日にスタートしたばかりだが、すでに飲食店やガソリンスタンド、スーパー、タクシーなど200店舗以上が加盟している。アプリの開発をした、東京都港区に本社のあるアイリッジの川田修平さん(42)はこう言う。
「億をかけるようなメガバンクのプロジェクトじゃなくても、スマホだけの仕様なら手頃な価格で、フィンテックができるようになりました」
将来的には、個人間でのコインのやり取りもできるようにしたいと言う。今回、なぜ飛騨信用組合が発行したのか。飛騨信用組合常勤理事の古里圭史さん(38)はこう言う。
「信用組合は営業できるエリアが限定されています。新たな収益の種を見つけないと存続できないという危機意識がある」
また、ITを活用した金融サービスが増えている今、信用組合でもきちんと戦える利便性の高いサービスをもたなくてはならないという強い思いもあったという。古里さんを含む飛騨信用組合内のプロジェクトチームは、全国で開催されるフィンテックに関するセミナーに片っ端から参加して情報を収集した。