世界中で大ヒットを続ける「スター・ウォーズ」シリーズに抜擢された監督自身とルークが重なって見える。ストーリーの構想を練る際、真っ先に姿が浮かんだのもルークだった。
「前作の最後、あの島になぜ彼がいたのかは最初に解くべき謎だった。解明できれば残りの物語は全部うまくいくと思った」
勇士としてのルークにフォーカスすることで新作で彼の取る行動が明確となり、筆は一気に進んだ。執筆中は週2回、ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長らと面会した。
「書いている場面や、構想を話す場だった。ノーと言われたことはなくて、『興味があれば追求してみて。つじつまが合わないといった心配はせず、まずトライを』と、励まされた」
撮影中のことを尋ねると「楽しかった」を連発。ローラ・ダーンやベニチオ・デル・トロといったベテランの出演俳優陣ともリハーサルの時間を十分に取り、入念に話し合った。
「俳優の話に耳を傾けるのも監督の仕事。僕はいいアイデアがあれば自由に言ってほしいタイプだから。彼らの提案でセリフを削って、いいシーンになったところもあるんだ」
新作を心待ちにしているファンにはこんなふうに伝えたい。
「深呼吸して、期待感とかは取っ払って見てほしい。僕もエピソードI・II・IIIや『フォースの覚醒』はそんなふうに見た。何年も待ち続けてきた人に酷なお願いなのは、百も承知なんだけど(笑)」
(ライター・山本航)
※AERA 2017年10月30日号