一時は、構成作家を本気で目指そうとも思ったというが、現在は現役のNHK記者として日々ニュースを追っている。その毎日に、ハガキ職人としての経験は確実に生きているという。

「今も原稿を書くのはあまり困らない。状況が目に浮かぶように文章を書くトレーニングになりました。ハガキ職人の経験は僕のアイデンティティー。あの時があって、今があると思います」(同)

 50年間、多くの若者に影響を与え続けてきたANN。SNSの浸透などメディア環境は様変わりし、面白さの基準も多様化する中で、今後どのように若者の支持を獲得し続けていくのか。前出の節丸は、玉石混交な情報があふれる現代だからこそ、ラジオの需要は増すとみる。節丸は言う。

「ラジオのような編集がきかない音声コンテンツの信頼性はますます増していくのでは。ラジオでしか聴けない話ができる限り、需要は必ずある。だからこそ信頼性のある話し手を出していくことが、ラジオが生き残るカギになる」(文中敬称略)(編集部・市岡ひかり

AERA 2017年10月30日号より抜粋

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