引く手あまたなのは在学中に限った話ではない。就職率は例年ほぼ99%以上と大学を上回り、三菱重工、JR東日本、日立製作所といった大企業にも就職している。大手で活躍している卒業生も多いのだ。

 さらに新しい動きも。最近増えているのは“女子学生”。年々増加傾向にあり、現在は約20%を占めるほどに。大舞台で成果も上げている。

 高校生年代を対象とした世界最高峰の科学大会で上位入賞したのは、米子高専(鳥取)の前田千澄さん(物質工学科5年)と、山村萌衣さん(同4年)のペアだ。16年5月8日から1週間、米国アリゾナ州フェニックス市であった「インテル国際学生科学技術フェア(Intel ISEF)2016」。世界77の国と地域から選抜された約1700人の生徒が参加するこのフェアで、燃料電池の電解質膜を卵の膜で代用し発電させることに成功していた前田さんら2人は、研究成果を発表。結果、エネルギー・ケミカル部門のグランドアワード第2等(全体の上位6%)に選出されたのだ。

●「テスト期間をのぞいた1年間ほぼ毎日研究」

 受賞の背景には、腰を据えて研究に取り組める環境があった。前田さんは2年、山村さんは1年次に、同科の谷藤尚貴准教授が主宰する「B(biology)&C(chemistry)研究同好会」に参加。先輩が行っていた燃料電池の研究を受け継ぎ、既存の電解質膜に代わる材料として「空気を通すけれども中身は腐敗させない」性質を持つ野菜や果物の皮、卵の膜に着目した。卵の膜が一番適していることがわかり、性能を上げる実験に取り組んだのだ。

「テスト期間をのぞいた1年間ほぼ毎日、土日や夏休みも研究室に通いました。まったく変化があらわれず、このまま続けて成果を上げることができるのか、気持ちがなえそうになったこともありました」(前田さん)

 地道な実験が実り、電池キット2個でLEDライトの赤色、5個で青色を灯すことに成功。15年に開催された、intel ISEF提携フェアで朝日新聞社など主催の高校生科学技術チャレンジコンテストに入賞し、出場権を獲得したという。米国大会までは5カ月間。2人は発表資料を英訳するかたわら、想定される質問の受け答えを英語で猛特訓し、大会では通訳の助けを借りずにポスターセッションに臨んだ。

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