「音楽マンション」は入居待ちの状態が続いており、入居希望者が260人ほどいる。そのため、空室が出ても、間を置かずに新たな入居が決まる。都内を中心に棟数を増やす計画だ。
ペット共生、ワインセラー付き、バイク愛好家向けにバイクを居住スペースに置いて眺めることができる物件など、キャラ立ちしたマンションが増えている。なぜか。
●独自の価値を競う時代
オラガ総研代表取締役で不動産活用に詳しい牧野知弘さん(57)は、こう指摘する。
「理由の一つは、マンションに量が求められた時代が終わり、マンションイコール住むハコという時代が終わった。もう一つは、マンションはコミュニティーであって、生活の質的な充足を求めたいという動きが出てきたことです」
商品を出しさえすれば売れる「マクドナルド型」だった不動産が、独自の価値が強みの「ディズニー型」にならなければ生き残れなくなっているのだ。
「エッジの利いたマンションに同じ趣味の人が集まれば、コミュニティーが生まれる。数年前から増えてきたコンセプトマンションは、コミュニティーとしてマンションを売るようになった先駆けだと思います」(牧野さん)
ソフト重視のマンションをつくり、気に入った付加価値に入居者がプラスアルファのお金を払う時代が当面続くと、牧野さんは予想している。
●ネコまっしぐら物件
物件にネコがついてくる一風変わった「猫付きマンション」がある。これはネコの保護団体NPO法人東京キャットガーディアン(本部・東京都豊島区)が仲介するもので、猫付きマンション対応可物件で同法人の保護猫の預かりボランティアができる。利用希望者は面接を受け、飼育者として適正と認められれば入居し、ネコを預かる。現在の利用者つまり入居者は80人。
所有する物件を猫付きマンション対応可物件にするには、改装などの作業は必要ない。ネコとの共生を歓迎する大家で、適正な物件なら、同法人が猫付きマンション対応可物件として認定。その多くを同法人の運営するポータルサイト「しっぽ不動産」に掲載している。2010年の運営開始当初から、不動産のオーナーと利用希望者の双方からの問い合わせは多い。
猫付きマンションは、子猫に比べて譲渡に時間がかかる成猫の居場所を確保するために始めたシステム。代表の山本葉子さん(56)はこう言う。