右派活動をするようになったのは約10年前。「日本文化チャンネル桜」の朝日新聞への抗議デモに参加したのがきっかけだった。その後、元鎌倉市議会議員で「新しい歴史教科書をつくる会」顧問の伊藤玲子氏の政治塾に入り、東京都や神奈川県の区議、県議とともに慰安婦像の抗議活動を行った。改憲の重要さを痛感し、署名集めなど精力的に動く日本会議に入会したのだ。白須さんは現在、専業主婦として、研究職の夫と高校生の娘と3人で暮らしている。
「私たち女性は男性と違って“商売保守”じゃない。子どもたちの未来のために憲法を変えたいという純粋な気持ちで活動しています」(白須さん)
日本会議は2001年、女性組織として「日本女性の会(※注3)」を立ち上げた。彼女たちの代表的な活動が「憲法おしゃべりカフェ」だ。自民党(※注4)の改憲草案に沿った内容で、改憲の重要性を訴える草の根活動をしている。その全国キャラバンで数多く講師を務めてきたのが熊本大学教授の高原朗子さんだ。15年に日本武道館で開催された「今こそ憲法改正を! 武道館1万人大会」でスピーチを行い、これまで12都道府県で約140カ所、3千人を超える人たちに話してきたと報告している。
軍事力と国民の福祉
なぜこのような活動をするに至ったのか? 取材は断られたが、憲法に興味を持つようになった経緯がブログに綴られていた。きっかけは大学卒業後、社会福祉法人で働いていたとき、恩師に言われた一言だったという。
「日本は現在、一見平和そうだが、もし何かあったら残念だけど真っ先に切り捨てられるのは福祉の世界の人たちであり、子供たちだ」(高原朗子公式ブログ「ほがらか通信」から)
当時は大げさだと思ったが、徐々に「軍事力と国民の福祉は車の両輪」だと考えるようになったという。国防も福祉も、国家と個人への「安全と生存の最終的な保障装置」という点で共通しているという理屈だ。その後、歴史に関する本を読み、講演会に行き、歴史教科書問題や拉致問題、百人斬り訴訟で支援を行うようになったという。