店内は地元の人や観光客まで大勢の人でにぎわっている(撮影/富岡秀次)
店内は地元の人や観光客まで大勢の人でにぎわっている(撮影/富岡秀次)
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デヴォンの港町プリマスにある人気店「ロックフィッシュ」(撮影/富岡秀次)
デヴォンの港町プリマスにある人気店「ロックフィッシュ」(撮影/富岡秀次)
フィッシュアンドチップスのメニューには、青い魚のマーク、MSCラベルがついている。持続可能な漁業で捕られた魚であることを示すものだ(撮影/富岡秀次)
フィッシュアンドチップスのメニューには、青い魚のマーク、MSCラベルがついている。持続可能な漁業で捕られた魚であることを示すものだ(撮影/富岡秀次)
揚げたてのサクサクのフライ。ビネガーとレモンをかけていただく。ビールにも最高に合う(撮影/富岡秀次)
揚げたてのサクサクのフライ。ビネガーとレモンをかけていただく。ビールにも最高に合う(撮影/富岡秀次)
スーパーで売っているアンチョビやサバ、ニシンの缶詰にも、MSCラベル(撮影/写真部・小原雄輝)
スーパーで売っているアンチョビやサバ、ニシンの缶詰にも、MSCラベル(撮影/写真部・小原雄輝)

 イギリスはまずい、は過去の話だ。極上の食材を育む自然、情熱的な生産者、賢明な選択のできる消費者。ブレグジットに揺れる中、違ったイギリスが見えてくる。3回目は、イギリスを代表するメニュー、フィッシュアンドチップスに関する話題を。

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 三方を海に囲まれ、シーフードには定評がある南西部だが、イギリスのシーフードメニューといえばやはりフィッシュアンドチップスが外せないだろう。

 デヴォンの港町プリマスにある人気店「ロックフィッシュ」を訪れた。山盛りのポテトフライの上に、はみ出すほどの大きな白身魚のフライ。揚げたてのサクサクしたフライにビネガーをじゃぶじゃぶかけて頬張っていると、メニューの脇に小さく、青い魚マークがついていることに気づいた。

 MSCラベル、「持続可能な漁業で獲られた水産物」であることを示すマークだ。97年にロンドンに設立したNPO海洋管理協議会(MSC)が認証している。

 90年代初め、カナダ・ニューファンドランドのマダラが乱獲により激減し、フィッシュアンドチップスに使われる白身魚の調達が困難になるという事態が起きた。持続可能な漁業で資源を管理しなければ、魚は枯渇し、漁業も衰退してしまう。そんな危機感を背景に設立されたのがMSCだ。

 乱獲をせず、漁期を制限することなどで漁場である海の生態系は維持できる。漁業を管理し、持続可能な漁業で獲られた魚を確実に消費者の手元に届けることが、MSCの主な活動だ。

 MSCコマーシャルマネジャーのジョージ・クラークさんが説明する。

「現在までに、36カ国、311の漁業が認証されていて、これは全世界の水産物生産量の約10%にあたります。英国内のフィッシュアンドチップス店でも、認証水産物を扱う店が増えています」

 もちろんフィッシュアンドチップスだけではない。ヨーロッパやアメリカではマクドナルドのフィレオフィッシュにもMSCラベルが表示されている。英の大手スーパー・セインズベリーでは2020年までに扱うすべての水産物を認証されたものにすると発表した。おいしい魚をずっと食べ続けるためには、消費者として果たすべき責任があることに、イギリスの人たちは気付き始めている。

AERA 2017年4月24日号