来場者をまず迎え入れるのが、ドットの布で養生された庭の木々。これも「木に登った水玉2017」という作品だ。美術館が丸ごと草間一色に(撮影/写真部・東川哲也)
来場者をまず迎え入れるのが、ドットの布で養生された庭の木々。これも「木に登った水玉2017」という作品だ。美術館が丸ごと草間一色に(撮影/写真部・東川哲也)
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 世界トップクラスの人気と評価を誇る現代芸術家・草間彌生の過去最大級の個展が東京・六本木の国立新美術館で開催中だ。古い草間を知っている人も、新しい草間しか知らない人も必見。あなたの中の草間彌生がアップデートされる。

 一辺が人の背丈以上ある大作。それが、奥行き50メートルもある展示室の壁にびっしりと隙間なく並ぶ。すべては日本初公開。あの草間彌生が2009年に制作をスタートさせ、いまも毎日描き続ける大型ペインティングのシリーズ「わが永遠の魂」から厳選された132点だと聞けば、クラクラせずにはいられない。

 オープンを翌日に控えた2月21日、「草間彌生 わが永遠の魂」展のプレス内覧会が開かれた。草間作品で埋め尽くされた国立新美術館にはたくさんのメディアやアート関係者が詰めかけ、展示室は作品の熱気と作品にクラクラしている人の熱気が入り混じった、異様な高揚感に包まれていた。

 稲光のように会場を照らしたのは、一斉にたかれた大量のフラッシュ。人だかりの間から一瞬、車いすに乗って登場した草間彌生本人が見えた。高く掲げられたスマホのカメラ画面に、草間の赤い髪が無数に写る。

 そんな現代アートを地で行くようなシュールな光景に、会場のクラクラは最高潮に達した。

 草間は1929年生まれの87歳。10歳の頃から水玉と網目模様を描き始め、20代で渡米して前衛作家として成功をおさめる。73年に帰国したあとも多くの作品を発信。いま、世界でもっとも愛されている日本人現代美術作家といえば、この人だろう。

 同年代のアーティストと交流して応援するアートサロン「パトロンプロジェクト」を主宰する菊池麻衣子さんが言う。

「ひと昔前の日本の現代アートは、身の回りをテーマにした私小説的作品になりがちだったように思います。でも草間さんは違う。初期作品から、世界に通用する普遍的なテーマが感じられて、一言、かっこいい!という印象でした」

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