就活戦線が揺れている。これまで「5日間以上」としていた、インターンシップ(就業体験)の条件が削られ、1日だけの開催も認められるようになるという。
学生の売り手市場が続いている。就活サイト「マイナビ」の調査では、2017年卒の内々定率は77.5%(16年8月末時点)。内々定取得数の平均値は2.1社、複数の内々定を取得した学生は57.2%だ。一方、企業の「充足率」は87.7%にとどまった。
ここ数年、就職活動は揺らいできた。経団連の発表する情報解禁日や内定解禁日が、相次いで変更されたためだ。16年卒は広報開始が大学3年次の12月から翌年3月に後ろ倒しに、17年卒は選考開始時期が4年次の8月から6月に前倒しになった。昨年11月末には、インターンシップの「5日間以上」という条件を撤廃する方針を固め、1日でもOKとする考えを示した。
●会社説明会化が進む
インターンとは、学生が自分に合った企業を探すための就業体験。だが、企業体力や規模の問題もあり、5日間のインターンをすべての企業が実施できるわけではない。5日間以下の短期での開催や、会社説明会に近い「セミナー型」を実施する企業も多かった。
中小企業にとっては学生にアプローチする貴重な機会であり、インターンは急増した。採用コンサルタントの谷出正直さんによると、「18年卒採用向けの、主要サイトに掲載されたインターン実施企業数は、1月時点でのべ1万社を超える」という。
「いまでは実施企業の約70%が1dayインターンを開催しています。インターンとは名ばかりで、会社説明会化しているのが現状です」(谷出さん)
それでも、マイナビの調査では、17年卒のインターン参加経験者の内々定率は72.1%(16年6月末)と、未経験者の54.6%を上回った。
「短期で就業体験が伴わない場合も、学生の視野を広げ、企業理解を深めるという意味では、有効だということだと思います」(吉本隆男編集長)