小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。オーストラリア行きを決断した顛末を語った新刊『これからの家族の話をしよう~わたしの場合』(海竜社)が発売中
小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。オーストラリア行きを決断した顛末を語った新刊『これからの家族の話をしよう~わたしの場合』(海竜社)が発売中

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 オーストラリアの知人のお子さんが大学に入って、何より大変だったのは「大人と一緒に講義を受けるので、ついこの前まで高校生だった自分には難しい話が多い」ことだったそうです。

 2011年の数字では、オーストラリアの高等教育機関で学ぶ学生のうち41%が25~64歳。65歳以上はさすがに1%足らずですが、20歳前後の若者ばかりの日本のキャンパスの風景とは随分違いますね。12年の数字では、25~64歳の学生のうち、フルタイムやパートタイムで働いている人が半数以上です。何歳でも、何度でも、働きながらでも大学に通う大人がいるのです。

 このほど、日本老年学会などが日本の高齢者の基準を変えようという提言を出しました。「高齢者は75歳以上。65歳から74歳までは准高齢者とし、就労やボランティアなどの社会参加を促すべきだ」とのこと。元気な人は高齢でも社会に貢献してほしい、というメッセージです。ではぜひ、大学で学ぶ機会も増やしてほしい! 学生の減少に悩む大学も助かるのでは? 准高齢者は働きながら、勉強してキャリアアップするのです。何しろこれからは人生100年という恐ろしい時代ですから、仕事人生が2回分あるようなもの。ならば学ぶチャンスも2倍にしましょう。目指せ、シニア学生先進国!

 26年には人口の約3割が65歳以上となる日本。たとえ高齢者の定義を変えても、下の世代が彼らを支えきれないのは明らかです。

 働き方の多様化は、親の介護をする人のためにも、高齢者の自立のためにも、必要なのです。

 もしも准高齢者になってから大学や大学院に行くなら、あなたは何を勉強したい? どんな仕事をしたい? 「学生は若者」「就職は新卒採用」「高齢者は働けない」という常識が変われば、日本のキャンパスライフも、自分の将来も違ったものに見えるのかもしれません。

AERA 2017年1月23日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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