
過労死は、どんな会社や組織でも起こりうる。部下を過労死に追い込まないために、管理職は知らなければならないことがある。予防するため社員自身も知っておくべきこととは。
「もうちょっと頑張ろう、どうにか打開しようと思っているうちに(自分が)死んでしまうことがあるんです。過労死は特別な人や会社に起こるものではなく、だれにでも起こりうることを知っておいたほうがいい」
法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授は、毎年学生たちにそう伝えるよう心がけているという。
「真面目に仕事をしようとしている人が、マネジメント不全によって亡くなってしまうのが過労死」
上西教授は言い切る。管理職が仕事量を見極め、相応の人員を確保し、部下に対して適正な仕事の分配を行うのがマネジメントだ。マネジメントがうまくいかないと、特定の社員に仕事が集中したり、若手の育成に手がまわらず、十分な人員補充ができなかったりする。こうした“よくある”職場状況のなかから過労死は生まれる。
●「自分が若いころは…」
過労死の温床が長時間労働だ。厚生労働省は“発症前1カ月間に100時間、または2~6カ月間平均で月80時間を超える時間外労働”を脳・心臓疾患の過労死ラインとしている。
「この数字を軽視してはいけない」
数多くの労働事件を手がける棗(なつめ)一郎弁護士はそう力をこめる。