「この3年間を一言で表すなら、『幸せなとき』だと思います」(JIN)
戦いを想起させるグループ名とはうらはらに、メンバーは礼儀正しく穏やか。「これからも同じメンバーで、ファンと一緒にもっと輝きたい」(JIMIN)
8月31日。午前11時過ぎにスタジオに到着したメンバー7人は真っ先に一つの机を囲み、ケータリングの釜めしを食べ始めた。本誌の撮影のために、朝一番の飛行機で来日したため、
「おなかペコペコ。おいしかった」(J-HOPE)
「いつも夜は作曲をしているので、今日は徹夜です」(SUGA)
「僕も徹夜。明日、僕の誕生日なんですが、誕生日が来るたびに、カバー曲をファンの方に贈るんです。お礼がしたくて。そのレコーディングをしていました」(JUNG KOOK)
疲れていないわけがない。でも、Vが大きな声で「(表情は)クールな感じですか? ニコニコですか?」と日本語で問いかけると、一気に撮影現場が盛り上がった。
防弾少年団は、2013年に韓国でデビュー。ゴールデンディスクアワードなど、その年の韓国の五つの新人賞を総なめにした。14年には日本でもデビューし、昨年12月に行った初のアリーナ公演では、2日間で2万4千人を動員した。人気は日韓にとどまらず、台湾、マカオ、中国、タイなどアジア10都市で開催された「2016 BTS LIVE<花様年華 on stage:epilogue>Asia Tour」では、14万4千人を動員。特にマカオではチケット発売開始5秒で「即完」した。
デビューからたった3年でアジアの若者の心をつかんだのは、彼らの容姿やキレキレのダンスだけが理由ではない。「防弾少年団」というグループ名に「10代、20代に向けられる抑圧や偏見を止め、自分自身の音楽を守り抜く」という意味を込めたというように、メンバー自身が書く歌詞に共感が集まっているのだ。
「日本同様、僕たちは『さとり』『ゆとり』の世代で『礼儀がなってない』などと言われる。でも、僕たちには僕たちだけの世界がある。そんなメッセージを発信していきたい」(RAP MONSTER)
(ライター・桑畑優香/編集部・大川恵実)
*AERA9月19日号には、7人のインタビューも掲載しています。
※AERA 2016年9月19日号