「ひとりの人の中で、消費の二極化が起こっています」
「これでいい消費」と「これがいい消費」。「こだわり」に対しては財布のひもが緩むという傾向が、長く続いている。
2006年に行われた経済産業省の「生活者の感性価値と価格プレミアムに関する意識調査」では、76.1%の人が「自分のこだわりがあるものなら価格が多少高くても購入する」と答えた。小宮さんによるとこの傾向が実に10 年、変わっていないという。
アエラネットの会員などに、「高価なものを買った経験」について尋ねてみた。昨年、新型のメルセデス・ベンツを900万円で購入したという50代の男性は、普段は質素で100円ショップなども利用するという。
「中古の国産車に長年乗っていましたが、50歳を過ぎて運転能力も落ちてくる。ベンツに乗ってみて安全性能の高さに感心した。真の安全性にお金をかけるのはありかと感じました」
2万円の電動歯ブラシを購入した女性(35)は、子育て中。「常に時間に追われる生活。短い時間でもしっかり歯を磨いて、虫歯を予防することが大事だと思い購入を決意しました」
「将来の自分の納得」も「高い買い物」の背中を押す役割を果たしているようだ。(アエラ編集部)
※AERA 2016年4月18日号より抜粋