
近年の消費者動向で見られるのが「消費の二極化」。高い物と安い物、その両極に分かれるということなのだが、最近の特徴はその二極化が「ひとりのなかで起こる」ということだという。一体どういうことなのか。
テーラーにオーダーしたスーツは、スリープライという3本の糸をより合わせて織ったモヘアのビンテージ生地を使ったものだ。黒のストレートチップの靴はシェットランドフォックス、かばんはイタリア製のヴァレクストラ。全身で74万円とくれば、いやが上にも士気が高まる。
「安物を着ていると、仕事の交渉ごとに影響することもある。週のうち5日は仕事なので、プライベートより、仕事用のものにお金をかけています」
そう話すのは、外資系企業で営業職を務める30代の独身男性だ。デザインがいいだけでなく実用性があり、ロゴなどが華美でなく主張しすぎないこと、仕事の邪魔をしないことが購入の条件。高価だが、その価値はあると納得しているという。
ところで、プライベートではなにを着ているんですか?
「基本、ユニクロです」
近年の消費者行動の特徴について、博報堂コンサルティングの小宮弘行さんはこう説明する。