2003年に発泡酒への増税が決まると、翌年にはさらに麦芽比率を下げた第3のビールが登場した。安い商品や新たな機能性を求める消費者の需要を掘り起こすため、血のにじむような商品開発を繰り返してきた、との自負がメーカーにはある。

 それだけに、税率の一本化で税収減を食い止めようとする国税当局の動きに、業界は反発する。業界関係者も怒りをあらわにする。

「たとえ企業努力でシェアを伸ばしても、市場が縮小すれば水の泡。自民党内で一時出ていた飲酒年齢の引き下げ案なんて、健康や倫理的な問題などを考えたとは思えない。税金を取れるところから取るというだけの、場当たり的な考え方はもうやめてくれ」

 だが、業界が反対で一枚岩かというと、事情はそう単純ではない。大手4社のビール類の生産状況をみると、7割近くをビールが占めるアサヒビールに対し、サントリー、キリンビールの2社は発泡酒・第3のビールが6割超を占める。各社にとって、税率一本化の影響は微妙に異なるのだ。

AERA 2015年9月21日号より抜粋