コミュニケーションに勝る親孝行なし!?
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 親孝行ってどうしたらいいのか。わかっているようで、わからない。難しく考える必要はありません。まずは、コミュニケーションから。

 会社員の女性(46)は25年経った今も、祖母の死を嘆く母の姿が忘れられない。心不全の突然死。涙を見せたことがなかった母が「これから親孝行をしようと思っていたのに」と、わんわん泣いた。

「そんな姿を見ながら、私は後悔しないように親孝行しようと誓ったんです」

 当時の母親の年齢になった今、親孝行について考える機会がますます増えた。

「親孝行のつもりで旅行をしても旅費は母が払ってしまう。それで親孝行と言えるのかどうか。みなさんはどんな親孝行をしているのでしょうか」

 周囲に尋ねてみると、多くの人が重視していたのは「コミュニケーションを取る」ことだった。「ITを活用する」「贈り物をする」「親を頼る」と方法は人さまざまだ。

 ネイリストの女性(36)は昨年11月に父を亡くした。一人暮らしになった母(68)を元気づけたいと贈ったのがiPadだった。

「大きな画面で見やすいし、スカイプなども使えば母を近くに感じられるかなと。LINEならアプリのスタンプを使って手軽にコミュニケーションが取れる。また、グループをつくれるので、結婚して離れて暮らす姉も含め、家族で楽しく手軽にコミュニケーションが取れると思いました。既読確認もできるので安否確認にもなります」

「甘えることも親孝行」と話すのは、都内在住の独身女性(48)だ。地方で暮らす両親が果物や野菜をつくっていることもあって、「一人だと食生活が乱れるから野菜を送って」「カレーにして送って」など、意識的に親に手間をかけさせる。

「手作業をさせる。歩かせる。あえて手がかかることをしてもらうことが老いていく親への愛情。『娘はいくつになっても子ども』と思わせることが生きる張り合いになるし、健康にもつながる。親を動かすことがミッションだと思っています」

 どんな形であれ、親とのコミュニケーションに勝る親孝行はないのかもしれない。

AERA  2015年2月16日号より抜粋

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