皇太子ご一家。雅子妃の長期療養は11年に及ぶ。体調に波があり、2014年の前半は公務への出席が減っていたが、秋以降、復調の兆しが見えた(宮内庁提供) (c)朝日新聞社 @@写禁
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皇太子ご一家。雅子妃の長期療養は11年に及ぶ。体調に波があり、2014年の前半は公務への出席が減っていたが、秋以降、復調の兆しが見えた(宮内庁提供) (c)朝日新聞社 @@写禁
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 2014年の秋ごろから、皇太子妃雅子さまの笑顔を見る機会が増えた。宮中晩餐会やお茶会などへの参加。復帰に向け少しずつ歩まれているようだ。

 12月9日、雅子妃が51歳の誕生日を迎えられた。回復への兆しは、誕生日に際しての文書の中でも感じられた。14年は例年にはない社会への強い思いや公務への意欲が記されていたのだ。

<来年は、戦後70年を迎えます。先の戦争当時のことや戦後の歩みに思いを寄せる大切な年になると思いますが、我が国が享受している平和の尊さを改めて心に刻み、平和への思いを新たにする機会になることと思います>

<人々がお互いを思いやる気持ちを大事にし、特に弱い立場にある人々をいたわり、痛みを分かちあいながら皆で手を携えて歩んでいくことが、これから先、ますます大切になるのではないかと感じております>

 ご病気になった雅子妃だからこそ<弱い立場にある人々>という言葉に説得力があった。続けて、広い視点でこう訴えられた。

<これからの地球や人類の将来について考えていくことも大切なのではないかと感じます。今後、異常気象などによる自然災害の増加も心配されますが、自然への畏敬の念を忘れずに、かけがえのない地球を大切にしながら、どのような社会を作ることを目指していくのか私たち一人一人が考えていく必要があるのではないでしょうか>

 ご療養に入られた03年は会見が行われず、翌年に文書が発表されたが、たった6行だけだった。以降、年を重ねるごとに言葉は増えて、14年は56行にも及んだ。

「年末は皇室の諸行事が多いため、ご体調がすぐれない雅子妃は例年、文書をお考えになるのにも時間がかかったといわれています。しかし、今年はそれほど時間はかからなかったそうです。公務に出られるようになって、先々でのご経験が言葉に結びつかれたのでしょう」(宮内庁関係者)

 これまでの文書では、「地球」や「人類」といった言葉で将来への希望を表現されることは少なかった。

AERA  2014年12月29日―2015年1月5日合併号より抜粋