「今のままでいいと思ってるの?」「相当ヤバいよ」といった、不安を煽る言葉も歓迎できないという(32ページの「家族辞苑」に詳述)。
「本人がヤバいと思わないと勉強しませんなんて、学校の先生がよく言う言葉。でも煽り言葉に反応して勉強しても、少しよくなるとやる気はすぐ落ちる。健全なやる気は引き出せないと思った方がいい」(大塚さん)
ヤバいぞと煽られ続けた日本の若者たちは、自分への満足感も将来への希望も諸外国と比べて低い。
「今がダメだからやれ!」と命令されても響かない思春期は、承認→期待→応援の3ステップを踏むことが肝要だ。
「今のままで大丈夫だよ」と肯定すれば「もう少し頑張ったら、もっと大丈夫かも」と思える(承認)。次に「これから良くなるよ」と励ませば(期待)、気持ちが上向きになる。その次は「君ならできる」と応援すればいい。
意外なことに「こうしたらいいよ」のアドバイスもやめたほうがいいそうだ。子どもが求めているタイミングとずれれば「うっとうしいだけで逆効果」(大塚さん)なのだ。自分でもわけのわからない嵐が吹き荒れる思春期は、実にフクザツ。
最後にとっておきの言葉を。学校でいじめを受けていたという小学5年生の教え子に、大塚さんがどうして学校に行けたの?と問いかけたら、少女は笑って答えた。
「いっぱいのキライは、ひとつのダイスキに負けちゃうんだよ」
少女の母親は「あなたが大好きだよ」と言い続けていたそうだ。
■わが子に言ってしまい反省した言葉
※調査はインターネット調査会社ミクシィ・リサーチの「チャオ」を通じて7月上旬に実施。全国の20~50代の男女500人が回答した
・何でこんなことができないの!
・早くしなさい!
・どうしてそういうことするの!
・言うことを聞きなさい!
・そんな子は嫌いだよ!
・何度も同じこと言わせないで!
・みんなに嫌われるよ
・もう、知らないからね!
・お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから
・ダメ!
※AERA 2014年7月21日号