コロナショックで世界的に株価が暴落している。3月12日も東京株式市場では、主な株価指数である日経平均株価が大幅に下がった。世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)を認定したこともあり、投資家の心理は冷え込んでいる。
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株安は経済の根幹を担う日本銀行も直撃する。株を大量に買っていた日銀は、このままでは多額の損失を抱え、財務の健全性が揺さぶられてしまう。“伝説のディーラー”と呼ばれ週刊朝日で「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」を連載していた藤巻健史氏は、こう警鐘を鳴らす。
「新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済が非常時モードに突入しているのに、政府も日銀も打つ手がない。財政や金融政策をすでに極限まで実行してしまっているからです。このままでは、日銀が債務超過になるリスクも出てきます」
まずは足元の株価を確認しておこう。3月12日の東京株式市場では、日経平均株価が前日の終値より856円43銭安い1万8559円63銭で取引を終えた。トランプ米大統領が発表した感染症への対策が、市場の期待を下回り、失望売りが広がった。
11日のニューヨーク株式市場でも、主な株価指数であるダウ工業株平均の終値は前日より1464・94ドル安い2万3553・22ドル。下げ幅は史上2番目の大きさで、2月の高値から2割超低い株価水準になっている。
3月12日は欧州やアジアの株式市場でも軒並み下落。コロナショックで世界同時株安が進行している。感染拡大がいつ収まるか見通せず、株価低迷は長引きそうだ。
こんな厳しい状況で心配されているのが、日銀の財務の健全性だ。日銀は株価指数連動型上場投資信託(ETF)を通じて、日本企業の株を買いまくっている。「デフレを抑制」するためという名目だが、実質的には「株価維持政策」だ。日銀が株高を誘導してきたことは、歴代最長となる安倍政権を支えることにもなっている。
買った総額は2019年9月末時点で、31兆6112億円(時価ベース)に上る。その後も買い入れているので、総額はさらに膨らんでいる。3月からは株価を買い支える思惑もあって、1日当たりの買い入れ額を約700億円から約1千億円に増やしている。