農業はもちろん、金融、保険、為替をはじめ、あらゆる分野で米国の利益が優先されていくはずだ。選挙が近いトランプ大統領が、日本に対し温情をかけてくれるはずもなく、この国はさらにガタガタになってゆくと思われる。

 この国の為政者のように、米国が我々の飼い主だと理解し、諦めるしかないのだろうか。どんな未来に連れていかれようとも、犬のように飼い主に尻尾を振ってついていくことが大事だと。

 でも、あたしたちの住処(すみか)はこの国、日本だ。のように、自分の住処に執着し、これ以上、変わらずにいてくれと願ってしまう。それとも、ジム・ロジャーズがいっていたように、若者はこの国を出て生きるすべを考えるべきなのか。犬のように米国に従い、猫のように自分の住処に愛着を持つ。でも、その住処は望郷として。

週刊朝日  2019年12月13日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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