前出の春名さんは、このデモは中国政府の圧勝に終わる可能性もあると危惧している。
「何よりの失敗は、一般市民が巻き込まれて死亡したことです。そしてデモ隊の暴力的な行為と、街への破壊活動、デモの長期化によって、香港経済が停滞していることです。これによって市民の同調や共感は激減したはずです」
デモ隊の無秩序な行為がこのまま過激化すると、最悪のケースでは、英国に対して独立闘争を行ったアイルランド共和軍(IRA)のように、国際世論からも、テロ組織とみなされかねない、という。
中国政府は香港デモを「支持」したと見なす各国の企業を批判。ビジネスへの影響を恐れてか、デモ「不支持」を表明する企業も多い。一方、ペンス米副大統領は、デモを支持。さらに米国上院では、香港での人権と民主主義の確立を支援する法案を全会一致で可決し、トランプ大統領の署名を待つのみである。一見、香港に有利なように見えるが、
「トランプ大統領は、もともと人権問題には無頓着な人物です。来年秋の大統領選に向けた国内アピールではないかとも感じます」(春名さん)
混沌のなかにある香港は、自由を手にすることができるのか。(本誌・永井貴子)
※週刊朝日 2019年12月6日号
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