![香港理工大学前に陣取ったデモ隊。これまでの展開は、中国政府の思惑どおり!? (c)朝日新聞社](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/d/2/840mw/img_d226101e0d588286798c00ab0df5db37150495.jpg)
![中国の習近平国家主席 (c)朝日新聞社](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/4/b/620mw/img_4bbf0478e7165f204a8e865d8c9eb22d50195.jpg)
パン、パン、パン。
乾いた3発の銃声とともに、黒服の若者が地面に転がった。11月11日のデモ現場で、香港警察が武器を持たない若者に躊躇なく発砲した衝撃的な映像は、世界中に配信された。
香港デモの引き金は、香港政府が犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を進めていたことだった。香港に高度な自治を認めた「一国二制度」の侵害だとして今年6月、若者を中心にデモが本格化したのだ。この改正案は10月下旬に撤回されたが、デモ参加者と香港警察の衝突は悪化の一途だ。
だが、デモが長期化しても中国と香港政府は、香港に駐留する中国の軍隊「人民解放軍」は出動させず、デモあとの掃除をやらせた。そして香港警察に武器を携帯させ鎮圧させた。
国際ジャーナリストの春名幹男さんが分析する。
「一方で、デモ参加者への暴行などを続けて、巧みに相手を挑発し、過激化する方向へと誘導していきました。中国政府の思惑どおり、デモ隊は、火炎瓶を手に、地下鉄駅や商店への破壊活動や放火まで行うようになりました」
11月8日に現場にいた大学生が死亡し、香港政府への非難が高まった。すると11日には、デモ参加者を非難した男性が、何者かに全身に火をつけられて重体に陥った。香港警察は、男性が火だるまになる様子を撮影した動画を公開。警察は催涙弾や実弾を使い、デモ隊の立てこもりの現場となった大学は、「戦場」さながらに火の海と化した。