ところが、10月2日に行われた関西電力幹部たちによる記者会見は、悪者は森山氏で、関西電力側はまるで被害者であるかのような、反省も責任感もない説明の仕方であった。
記者たちが、岩根社長、八木会長に「辞任する考えはあるのか」と問うと、「原因究明、再発防止を行い、信頼回復の先頭に立つことで経営責任を果たしたい」(岩根氏)、「厳粛に受け止め、すべての膿を出し切るのが私の今の務めだ」(八木氏)と、両者とも「辞任」などまったく意識の外のような答え方であった。
そして、森山氏に「お前にも娘があるだろう。娘がかわいくないのか」とか、「お前の家にダンプを突っ込ませる」などと、「恫喝」された、とも語った。「恫喝」に怯えて金品を受け取った、ということなのか。
さらに、関西電力幹部たちが吉田開発以外の工事業者から、直接金品を受け取っていたことも判明した。こうなると、どう考えても「収賄」である。
関西電力幹部たちは当然辞任すべきであり、自分たちが開き直っていることが関西電力の信用を決定的に失墜させることがわかっていないのだろうか。それに、こうしたとんでもないスキャンダルは、関西電力の体質ではなく、もしかすると原発事業というものの特質なのではないか。
※週刊朝日 2019年10月18日号

