田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数 (c)朝日新聞社
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イラスト/ウノ・カマキリ
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 ジャーナリストの田原総一朗氏が、関西電力と元助役のスキャンダルについて、関電側がまるで被害者のように振る舞うことに物申す。

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 今回の関西電力の幹部や元幹部が、福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた、という大スキャンダルを最初に報じたのは共同通信であった。

「関西電力の八木誠会長(69)ら6人が2017年までの7年間に、関電高浜原発がある高浜町の元助役・森山栄治氏(2019年3月に90歳で死去)から、計約1億8千万円の資金を受け取っていた」という特ダネであった。当然ながらメディアは大騒ぎとなった。

 その後、関西電力がまとめた報告書によると、鈴木聡常務執行役員が約1億2千万円、豊松秀己元副社長が約1億1千万円を受け取っていた。ともに福井県にある原子力事業本部で要職を務め、高浜・大飯両原発の再稼働にも力を注いできた人物だ。本部長の経験がある八木現会長にも金貨や金杯など、800万円を超す金品が渡り、岩根茂樹現社長も150万円分の金貨を受け取っていた。金品を受け取っていた幹部は20人で、総額は約3億2千万円。だが、それ以外にも金品を受け取っていた幹部がいるようだ。

 関西電力は、国内9電力の中でも原発依存度が高く、福井県若狭地方に合計11基の原発を保有していて、11年の東日本大震災での東京電力福島第一原発事故以前は、電力の約半分を原発で賄っていたのである。

 森山氏は、1969年に高浜町役場に採用され、77年から10年間助役を務めていて、「原発のドン」と称されていたようだ。助役を辞めた後は、原発工事を請け負う地元の土木建設会社「吉田開発」の顧問を務めていた。

 そして、関西電力が吉田開発に発注した工事は2014年9月から17年12月に、直接・間接を合わせて121件あり、うち半数以上で森山氏に情報提供していた。なお、14年度には7億円だった関西電力から吉田開発への発注が、17年度に3倍超の22億5千万円となっている。

 関西電力幹部が受け取ったのは、吉田開発から森山氏を経由しての金品だったのである。

 どう見ても大スキャンダルである。

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