とはいえ、ピーチ流が認知されるまでには苦労もあった。「空飛ぶ電車」は時間が来れば遅れる客がいても出発してしまう。最初は「なぜ待ってくれないんだ」と言われたが、何度も説明するうちに乗客の理解が得られるようになった。
約30人で始まったピーチは約1100人規模の会社に成長。10月末にはバニラエアとの統合も控えている。
井上さんのストレス解消法はランニング。おかげでフットワークは軽く、社員に用があるときは自分から席を立って近づいていく。
「人生は短いから好きなことを楽しくやったほうがいい。落ち込んでいるのは時間の無駄」
ピーチは若者を中心に、リタイア後の旅行にも利用されている。LCCによって外国人観光客が増加し、地方都市も変わり始めた。
「地方活性化に貢献できたらいいですね。まだまだやれることはある。今後は近距離だけでなく中距離も視野に入れ、アジア一のLCCを目指します」
(仲宇佐ゆり)
※週刊朝日 2019年10月11日号