ドロ沼化の様相をみせている日韓関係にまたひとつ、懸念材料が持ち上がった。
【写真】日本製品が撤去されたスーパー 韓国の若者が不買運動に参加するわけは…
世界貿易機関(WTO)は9月16日、日本による対韓輸出規制強化は不当だとして韓国が提訴した、と発表した。
日本は、7月に半導体やディスプレーの材料となる3品目について、韓国に向けた輸出の管理を強化した。さらに8月には、輸出手続きを簡略化できる「ホワイト国」(輸出優遇国)のリストから韓国を外す「第2弾」の措置を行っていた。
日韓関係の悪化によって、韓国人による九州や北海道への観光客は激減。日本と韓国を結ぶ、格安航空会社(LCC)の路線も次々と運休が発表されている。観光庁の18日の発表によると、8月に日本を訪れた韓国人旅行者数は、前年同月と比較して半減した。わたしたちの暮らしにも影響が出ている。
これから日韓両国は、WTOの手続きに沿って、30日以内に協議が始まる。それでも解決しない場合は、裁判にあたる紛争処理委員会に諮ることになる。
だが、経済アナリストの森永卓郎氏は、
「緊張関係が長く続けば、日本にとって最悪のシナリオが待っています」
と警鐘を鳴らす。
日本の輸出規制によって韓国の半導体産業は混迷する、とさかんに言われているが、実は韓国への打撃は、さほど深刻ではない、という。
「台湾の半導体産業も日本からの素材に依拠していますが、日本からの輸出優遇措置は受けていません」(森永氏)
つまり、韓国への措置は、台湾など他の諸外国と同じ通常の輸出手続きに戻しただけなのだ。
日韓関係に詳しい大使経験者も、こう分析する。