東京・国立科学博物館で「恐竜博2019」が開催されている(10月14日[月・祝]まで)。今年は恐竜ルネサンスの契機となった1969年のデイノ二クスの命名から50年。新たな恐竜時代の幕開けとなる。
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1969年、小型肉食恐竜・デイノニクスが発表され、恐竜は絶滅した大型爬虫類から恒温動物へとイメージが変わる恐竜ルネサンスが起こった。
「恐竜博2019」は恐竜研究の転機となったデイノニクスのツメをイエール大学ピーボディ自然史博物館以外で初めて見ることができる貴重な機会だ。
また長年、前あし以外の化石が発見されず、今世紀最大の謎多き恐竜とされたデイノケイルスは近年の発見と研究により、全身復元骨格が完成。その姿が明らかにされている。
さらに日本の恐竜史上最大の発見とされ、骨格の8割以上がそろう大型恐竜「むかわ竜」の実物化石と全身復元骨格を並べて展示と、まさに新たな時代を告げる一大恐竜博覧会だ。
■むかわ竜
白亜紀後期 産出地:北海道むかわ町 推定全長:8m
北海道で発見されたハドロサウルス科の新種の可能性が高い大型恐竜。実物化石(写真手前)と全身復元骨格が地元・むかわ町以外で初公開(むかわ町穂別博物館蔵)
■恐竜人間(ディノサウロイド)
もし恐竜が絶滅していなかったら、脳が進化し、二足歩行をしていたというカナダのデール・ラッセル博士の仮説をもとにつくられたモデル(群馬県立自然史博物館蔵)
■デイノケイルス
白亜紀後期 産出地:モンゴル 全長:11m
大きなクチバシを持ち、手には長いツメ、そして蹄(ひづめ)のような足の指を持つ恐竜。背中に大きな帆があり、さまざまな恐竜の特徴を併せ持つ「へんてこな恐竜」だと判明
■デイノニクス
白亜紀前期 産出地:アメリカ・モンタナ州
鳥類は恐竜から進化したという説を生み出すきっかけとなったデイノニクスのホロタイプ標本(完模式標本とも訳される学名の基準となる標本)。デイノニクスという学名は「恐ろしいツメ」を意味する
(取材・文/本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2019年8月2日号