ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「吉岡秀隆と僻地ファンタジーの関係」を取り上げる。
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先日からドラマ『Dr.コトー診療所』が再放送されています。山Pの『コード・ブルー』同様、リアルタイムではちゃんと観ていなかったものの、何度となく再放送に出くわして好きになった作品です。とは言え、毎日16時にテレビの前にスタンバイするほど幸い暇でもなく、録画して1日1本ペースで消化する気の長さも持ち合わせていません。そこで今回も大活躍したのがオンデマンド(有料配信サービス)です。再放送初回を観たその日に『Dr.コトー診療所まるごとパック(2300円)』を購入し、オトナの充足感にしみじみと浸りながら、約1週間でセカンドシーズンまでの全26話を観了。ちなみに途中から若き日の蒼井優が出てくるのですが、あまりの初々しさに思わず本人に「アナタ、可愛かったね!」と若干失礼なメールを送ったら、その返信がまさかの「実は結婚しました」だったというオマケ付き。
この『Dr.コトー診療所』は2003年から2006年にかけて放送され、沖縄の与那国島を舞台に、東京から来た医師が離島医療に挑む姿が描かれています。主演は吉岡秀隆さん。吉岡さんと言えば『北の国から』の純くんです。あの純くんが『北海道から一転、沖縄の離島へ──』という、観る側の記憶のコントラストを刺激してくれるのはもちろんのこと、ストーリーの随所に『北の国から』を彷彿させるような設定やシーンがさりげなくちりばめられていたり、『北の国から』とともに大人になった世代としてはニンマリが止まりませんでした。無論、吉岡さんの役作りや演技は、『北の国から』のそれとはまったく異なり、『コトー先生』の姿に『純くん』が重なることは一度もないというのもこれまた凄い。