自身の犯行を否定した上で、理由をこう説明した。
「麗輝の自宅で襲った時、スタンガンをあてて、彼を台所に連れて行った。包丁を取り出したが、刺せなかった。なぜこんなバカなことしているのかと思った。その時点で殺意はなくなっていた」
殺害の動機について、富士子被告はこう語った。
「麗輝のDVがひどかった。一度、離婚届を出しに行ったが、市役所が受理せず離婚できなかった」
「セックスしていて、首を絞められたりした」
「真生と逮捕直前まで話をしていて、罪をつぐなっても好きだから一緒にやり直そうとなった。今も真生が好きです」
時より、富士子被告は熱い視線を送ったが、上山被告はまったく目を合わせようとしなかった。そして、上山被告はこう暴露した。
「最初は富士子をかばっていた、一人で罪をかぶろうと思った。だが、離婚の話がウソだ、騙されていたことがわかった。他にもおかしなことがわかった。母親からも富士子にマインドコントロールされていたんだと説得され、ご遺族のためにも本当のことを話そうと思った」
最後に裁判官は、上山被告にこう問うた。
「富士子さんに愛情はあるのか?」
上山被告は厳しい口調でこう答えた。
「騙された。ありません」
食い違う言い分。真実はどこにあるのだろうか?(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事