「日本警察の威信を賭けた警備体制。絶対に不測の事態があってはならない」
警察庁関係者の言葉に力が入るのも無理はない。
間もなく平成が終わり、令和元年を迎えるが、天皇陛下の退位と新天皇の即位を祝おうと、記帳や一般参賀に押し寄せる人で皇居やその周辺は大混雑すると予想されている。
警察は総力を挙げて警備警戒に当たる。
警視庁は、天皇陛下の退位と新天皇の即位に向け、皇居や赤坂御用地などの周辺で車両検問や不審物のパトロールを集中的に実施する。
4月30日と5月1日には一連の儀式が皇居で行われ、皇太子さまらが赤坂御用地と皇居の間を移動される。
そこで思い出されるのがかつてあったトラブルだ。1990年1月の天皇陛下の「即位の礼」パレードの際に、路上に爆竹が投げつけられる事件があった。さらに都内各地では飛翔(ひしょう)体が発射されるゲリラ事件も相次いでいた。
警視庁では、天皇制に反対する過激派の行動も警戒し、検問やパトロールで、不審者や不審物の発見に努めて、トラブルを未然に防ぐ方針だ。
「1993年6月9日の新天皇のご結婚パレードの際はおよそ20万人の人が沿
道に詰めかけたんです」
こう当時を振り返るのは、第88代警視総監で、当時パレードの警備を指揮した池田克彦さんだ。
「当初は人出の予想が全くつかなかった。指揮官として警備する地点を割り振ったのですが、あらかじめ応援で動く部隊を前日までに決めておいたのです」
池田さんによると、朝はぐずついた天気だったが、晴天になり、事態は急変する。