セブンイレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートが今年8月末までに成人誌の取り扱いを原則中止すると発表して話題となっている。
大手コンビチェーンは、今秋にラグビーワールドカップが開幕、来夏に東京オリンピック・パラリンピックを控え、多くの外国人観光客の訪問が見込まれる中、成人誌の取り扱いを原則中止する意向を今年1月に固めたが、成人誌を主戦場とする成人誌のライターはこう語る。
「コンビニチェーン側の話では、今年6月から各店舗で本格的に成人誌の取り扱いを控えて、8月いっぱいで完全になくす方向のようです」
かつて大手コンビニチェーンと成人誌は良好な関係を築いていたという。
「以前から、成人誌については子供の教育上宜しくないといった声がある一方で、比較的客足が鈍る深夜帯などには成人誌を買うことを目的に来店し、ついでに他の商品も購入するといったケースも見られ、コンビニ店舗の売上増に貢献している部分もありました。実際、成人誌を外からも見える窓際の目立つポジションに配置する店舗もありましたし、コンビニが成人誌を“客寄せ”として利用していたのも事実です」(同ライター)
かつての良好な関係を破綻させかねない今回のコンビニサイドの決断なわけだが、成人誌業界は全面降伏というのが実情のようだ。
「近年は雑誌スペースを縮小し、その代わりに飲食スペースを設けるコンビニ店舗も増えて、とくに成人誌の扱いは悪くなる一方でしたからね。遅かれ早かれこうした状況になることは想定していましたし、そもそもアダルト業界はだいぶ以前からインターネットが主流となり、どこの成人誌もコンビニうんぬん以前に青息吐息状態ですから。これも時代の流れと甘んじて受け入れるしかないですね」(成人誌の編集者)
もっとも、白旗ムードの成人誌を前に、大きな岐路に立たされているのが実話誌という。
「ウチに限らず、ライバル誌も含めて実話誌は近年売上減を何とか抑えようと、成人誌に負けないアダルト系のグラビアや企画に力を注いできました。『成人誌が姿を消すことで実話誌のアダルト企画のニーズが高まるのでは?』なんて楽観的な声も一部ではありますが、派手にやると成人誌と同様に“排除”の対象にもなりかねませんし、頭が痛いところです」とは実話誌の編集者。
さらに、問題を複雑化しているのが、その“基準”の曖昧さだそうで、前出の編集者はこうコボす。
「今のところコンビニ側からは『アダルト系のグラビアや記事は控えろ』といった申し入れはなく、表紙にしろ、グラビアにしろ、記事にしろ、漫画にしろ、どこまでがOKなのか確たる基準や線引きがないのも悩みの種です」と困惑の色を隠せない。
そのうえで、「これまでどおりのアダルト色が許される保証がない以上、現状では今夏を目途に過激なグラビアを控えるなどアダルト色を薄め、ライバル誌の動向も見つつ、手探りで自主規制するしかないです。とはいえ、過剰に自粛し過ぎると、貴重な読者を失うことにもなりかねません…」
果たして実話誌はこの難局を乗り切ることができるのか?
(立花茂)
※週刊朝日オンライン限定記事