そうなると、党執行部、というよりも、安倍首相にどのようにすれば気に入ってもらえるのかとご機嫌取りばかりに気を使い、ご機嫌を損なうのを恐れる。
たとえば森友・加計学園疑惑について、国民の7割以上が問題ありだと捉えているのに、自民党の議員で安倍首相に「問題あり」だと抗議した者はいないようだ。ということは、安倍首相のご機嫌を損なうのを恐れて、この国のために何をどうすべきか、何をしてはいけないかと、本当に責任を持って捉えている国会議員がいないことになる。
だから無責任な失言が次から次へと出てくるのである。
実はこうした状況に、菅義偉官房長官も二階俊博幹事長も危機意識を強めているのである。
戦後、ある時期までは自民党の国会議員たちは、強い使命感を持っていた。それは日本が平和国家であること、そして経済復興をすることであった。そのために自民党議員たちは国民が全力を投入できるように、考えうるあらゆる政策を構築した。
問題は冷戦が終わり、バブルがはじけて以後だ。
日本はいかなる国であるべきか。その模索を続けている間に、あるいはあきらめたということなのだろうか。
※週刊朝日 2019年4月26日号